第6章: 振動運動
6.1 単振動
単振動は、物体が平衡位置を中心に周期的に往復する運動です。代表的な例として、ばね振り子や振り子運動があります。単振動の運動は以下の式で表されます:
ここで、\(x(t)\) は時間 \(t\) における変位、\(A\) は振幅、\(\omega\) は角周波数、\(\phi\) は初期位相です。角周波数 \(\omega\) は次のように表されます:
ここで、\(k\) はばね定数、\(m\) は物体の質量です。振動の周期 \(T\) は \(\omega\) に関連し、以下の式で表されます:
単振動は物理学や工学において重要であり、多くの自然現象や人工的なシステムで観察されます。
6.2 減衰振動
減衰振動は、空気抵抗や摩擦などの外部からの抵抗力により、時間と共に振幅が減少する振動です。減衰振動の運動方程式は次のように表されます:
ここで、\(c\) は減衰係数です。解は以下のようになります:
ここで、\(\gamma = \frac{c}{2m}\) は減衰係数、\(\omega' = \sqrt{\omega^2 - \gamma^2}\) は減衰後の角周波数です。減衰の度合いに応じて、運動のパターンはアンダーダンピング(\(\gamma < \omega\))、クリティカルダンピング(\(\gamma = \omega\))、オーバーダンピング(\(\gamma > \omega\))に分類されます。
6.3 強制振動
強制振動は、外部から周期的な力を受けて発生する振動です。この外力がシステムの自然振動数と一致する場合、共振現象が起こり、振幅が非常に大きくなります。
強制振動の運動方程式は次のように表されます:
ここで、\(F_0\) は外力の振幅、\(\omega_{\text{外}}\) は外力の角周波数です。共振が発生する条件は、外力の角周波数がシステムの自然振動数 \(\omega\) に等しい場合であり、このとき振幅は最大となります。この現象は、橋の共振や機械の振動制御など、工学的に重要な問題です。